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名古屋で食べられる海外グルメをご紹介します!コロナ禍で海外に行けない今、名古屋で海外気分に浸ってみませんか?

【パキスタン料理】中東のアジト風(?)建屋で食べる本格カレー! インターナショナルビレッジ @弥富

前回の更新から半年以上経ってしまいました…仕事が忙しいのを言い訳にせず、もっと高い頻度での投稿を目指していきます。

今回は、パキスタン料理が食べられる「インターナショナルビレッジ」をご紹介します。

 

 

 

パキスタンとは?

 

前回の韓国料理から打って変わって日本ではマイナーなパキスタン料理

 

パキスタン料理の前に、まずはパキスタンについて。

パキスタンは南アジアにあるインド・アフガニスタン・イランに囲まれた国です。

モヘンジョダロ遺跡をはじめとしたインダス文明が栄えた歴史の長い地域です。

 

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インド文明の一地域としての歴史を歩み、1947年にイギリスからの独立の際、ヒンドゥー教徒が多い地域はインドとして、イスラム教徒が多い地域はパキスタンとして独立しました。(イスラム教の多い東ベンガル地域もパキスタンの一部として独立したが、その後バングラデシュとして独立) 北東部のカシミール地方をめぐって、何度もインドと戦争をしており、さらに中国も領有権を主張しており、複雑な政治状況が長年に渡って続いています。そのイメージから訪れる観光客は決して多くはないようですが、文化面・自然面ともに観光資源は豊富なようで、いつか行ってみたいものです…

 

・ラホールのバードシャーヒー・モスク

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カラコルム山脈フンザ (風の谷のナウシカの舞台のモデルらしいです)

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[1]

パキスタン公用語ウルドゥ語で、日本では唯一大阪大学国語学部で専攻することができます。失礼ながら「こんなマイナー言語、誰が専攻するんだろう…」と高校時代に友達とよく話題になってたことが記憶に残っています。

 

パキスタン料理とは?

 

パキスタン料理は、インドを中心としたインド文化圏とイランをはじめとした中東諸国の2つの要素が合わさった料理といえそうです。トウガラシやターメリックなどのスパイスを多用するインド料理と、コショウやナツメグなどのスパイス、オイルやヨーグルトなどを多用する中東料理が混ざり合い発展してきました。またイスラム教の国ですので豚肉は使われず、鶏肉・羊肉・牛肉がよく食べられています。東部のパンジャブ地方は、小麦の世界的な名産地であり、ナンや薄焼きのロティ(チャパティ)といったパンは欠かせないです。[2]

 

お店の紹介

今回のお店は、愛知県弥富市にある「インターナショナルビレッジ」というお店。スパイスカレー好き界隈では有名なお店で、「マツコの知らない世界」でも紹介された名店です。

 

公共交通機関ではアクセスしにくいので、名古屋から車で向かいます。国道23号線沿いから少し外れて到着したのは、青々しい小麦畑のど真ん中。本当にこんなところにあるのか…?

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そして突然現れた謎の建物。看板もないし、外からではレストランには到底見えないですが、パキスタンの国旗がなびいているので間違いない…

専用の駐車場はないので、皆さん路駐が基本です。

 

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敷地内に入っても怪しい雰囲気が続く…うーん、ここは中東のテロ組織のアジトですか…???

実は愛知県は埼玉県に続いて、在日パキスタン人が多く、その多くが中古車輸出業務に従事しているとのことです。[3] その関連の施設をもとにしているといえば納得できる雰囲気です。敷地内にはナンバープレートの外された中古車らしきものがたくさんありました。

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なかに入ると、そこは完全に異国の雰囲気。清潔感はあります。

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お客さんは大半がパキスタン人と思しき人たち、ガンドゥーラという正装をしている方も複数おり、異国情緒を醸しだしてくれます。

 

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奥には床に座ったまま食べられるスペースもあります。

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レジの前で、メニューを見ながら注文しますが、料金は後払いです。メニューは英語で書かれていますが、写真はないので初心者には何がなんだか…日本語は通じますので、聞いてみるのが無難です。メニューが日替わりですが、固定メニューもあります。



 

○マンゴーラッシー

甘くて濃厚でみんなが大好きな味です。

イスラム教はお酒がダメなので、コーラは大人気の飲み物です。

サービスでサラダがつきます。

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○チキンビリヤニ 

パキスタンの代表料理といえばこれ。

16世紀からインド~パキスタンを含む地域一体を支配したイスラム教を主体とするムガール帝国。第三代皇帝アクバルがインドの元来の文化との融合を図って、作られたのがこのビリヤニです。[3] 中近東・中央アジアでよく食べられるピラフとカレーが融合したものなのですが、日本でもたまに見かけるカレーピラフとは全くの別物です。

ライスは日本で食べられる短粒種で粘りのあるジャポニカ米ではなく、長粒種でパサパサとしたインディカ米のなかでも香り高い最高級品種のバスマティライスが用いられます。 [4] パラパラチャーハンをはるかにこえるパラパラでフワフワな食感。控えめで上品なスパイスの香り。一度食べるとハマります。

 

 

ちなみに最近はビリヤニが日本でもブームになりはじめています。

ビリヤニのレシピ本[5]も出版されておりますので、ぜひ作ってみてください。

何度か作りましたが、カレーの上に半茹での米を乗せて炊くという独特の調理法で非常に奥深い世界です。

 

○ゴビチキン

「ゴビ」とはヒンドゥー語で「カリフラワー」のこと。水分がほとんどないカレーでした。

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○チキンティッカ

スパイスで味付けされ、タンドールのなかで、じっくり焼かれたチキン。

タンドリーチキンの骨なしバージョンといったところ。パプリカを中心としたスパイスでしっかりと漬けこまれている印象でした。ただのカレー風味のチキンとは一線を画す絶品。

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異国気分のなかで味わう満足なランチでした。

ちなみにトイレが別の建屋に据え付けられおり、日本のよくあるトイレではないのですが普通に綺麗です。

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また店内の壁にはスパイスをはじめとしたたくさんの食材が並んでいます。スパイスはスーパーより格安ですので、自家製カレーを作る人は要チェックです。またザクロの種などの珍しい食品が買えますので、おみやげにどうぞ。

 

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なかなか入るのにはハードルが高いお店ですが、

またこのあたりを通った際には、寄っていこうと思います。

 

2度目の訪問

 

というのが昨夏の訪問のレポートでしたが、今春に2度目の訪問にも行ってきました。

この日は営業時間なのに、パキスタンの旗が立っておらず、「営業していないのか?」と思いきや、入口付近の店員さんに「やってますよー」と言われ、2度目の入店。

 

日本人の店員さんがいらっしゃり、日本語のメニューも登場。ずいぶんハードルが下がってきました。

 

少し夕食には夕方の早い時間帯で、お客さんは日本人だけ…さすがに前回訪問時とのギャップの大きさに違和感を感じ、ふと気づいてネットで調べたところ、この時期はたまたまイスラム教の断食(ラマダーン)の時期であることに気づきました。イスラムの暦で特定の1か月間、日の出から日没まで飲食ができません。

 

国旗が立っていなかった理由がよくわかりました…店員さんも空腹なのに作っていただき本当に申し訳ない…

 

前回頼んだチキンビリヤニに加えて、2品を注文。

 

○アンダチャナ

パキスタンのラホールという街で朝ご飯としてよく食べられるカレーだとか。[6]

ウルドゥー語で「アンダ」は玉子、「チャナ」はひよこ豆ということで、文字どおり玉子とひよこ豆のカレーです。お肉は入っていないベジタリアンカレーなので、寂しい味かと思いきや、ガーリックパウダーやトウガラシをはじめとした刺激の強いスパイスが入っており、またオイルもたくさん使われていることから食べ応えは抜群。でもどこか優しい味がする…この店1番のおススメです。

 

 

○マトンマサラ

これはいわゆる日本人がいつも食べるカレーに最も近いカレーです。かなりマイルドで、刺激は先ほどのアンダチャナのほうがずっと強いですが、こちらはマトンの独特の風味が主役です。

 

カレーにはナンorロティが2枚ずつつきますが、1枚ずつにすることが可能です。

ナンは発酵させたフワフワの記事で、酵母の香りが漂います。ロティは無発酵の素朴なパンです。個人的には刺激の強いアンダチャナにはシンプルなロティ、肉の香りが強いマトンマサラにはふわっとしたナンがよくあいました。

 

○シークカバブ

シークは「串」、カバブは「焼肉」を表しますが、国によって「シシケバブ」などと呼ばれることもあります。ケバブといえば、トルコ料理として回って焼かれているあれを思い出しますが、それだけではない奥深い世界が広がっています。

インド・パキスタン地域では、挽き肉を串にさして焼いたものをシークカバブといいます。味はチキンティッカの挽き肉バージョンといったところ。

 

○バービカン

おススメされたノンアルコールビール。ザクロ味ということで、麦芽はほのかに香る程度の甘さ控えめのザクロ風味のサイダーといったところでした。日本のノンアルコールビールのほうがもう少しビールに近い気がしました。

しかし中世ドイツの修道士は、断食期間中に栄養を取るためにビールを飲んだという冗談みたいな話がありますが、現代のイスラム教徒はお酒が飲めないから代わりにノンアル飲料を飲んでいる…宗教は変われど本質は同じな気がします…笑

 

日の入りの時間が近づいてきて、パキスタン人をはじめとした外国人が入店してきました。断食明けの食事のことをイフタールといいますが、カレーとおかずがセットになったイフタールセットが提供されていました。私はそちらは注文しなかったのですが、なんと店員さんが後からサービスで提供してくれました。

画像上のから揚げみたいな料理が「パコラ」というひよこ豆の粉をベースとしたドーナツ、左手前がひよこ豆と玉ねぎのサラダ、右中央がミンチとジャガイモのパテでした。やはりどれもスパイスが入っているので日本人からするとカレー風味です。これらはちょっとした前菜としての立ち位置かと思われます。甘味としてオレンジ・ナツメもついてきました。

 

 

せっかくだし日の入りの時間を待ってみようということで、食後15分くらいのんびりさせてもらいました。

日の入りの時間は現地(弥冨市)の日の入りの時間がベースで、1分と違わず、静かな食事が始まっていました。てっきり、「日の入り」になった瞬間に新年のカウントダウンのごとく「イエーイ」となるかと思いきや厳かな宴の始まりでした。そんなこと毎日やってられないか…失礼しました。

 

お持ち帰りして翌朝食べました。食べ残したものは無料で容器を用意してくれ、持ち帰れるので、少し多めに頼むといいかもしれません。日本でこれまでにない異文化体験ができ、大満足な再訪問でした。

 

帰りは旗が立っていました、ようやく食事の時間でした。

 

店舗情報

店名: インターナショナルビレッジ

住所: 愛知県弥富市稲荷2-72-1

営業時間: 11:00~22:00(ラストオーダー: 21:30)

定休日: なし

アクセス: 近鉄弥富駅より車で約17分、近鉄蟹江駅より飛島公共交通バス蟹江線善光寺前バス停下車徒歩約15分※

食べログhttps://tabelog.com/aichi/A2302/A230202/23068551/

お気軽度: ★★(ある程度その国の雰囲気があるが、ハードルは高くない)

(2021年度の段階では★★★でしたが、ハードルが下がりました。)

 

※公共交通機関でのアクセスが悪いため、車でのアクセスをおススメします。車で15分でナガシマリゾートへ行けますので、ご一緒に行かれてはどうでしょうか!

 

[1] パキスタン - パブリックドメインQ:著作権フリー画像素材集

[2] パキスタン料理|e-food.jp

[3] 井上岳久, カレーの世界史, SBビジュアル新書

[4] 日本の米と何が違う? バスマティ米 〜世界主食発見!~|マイナビ農業

[5] 水野 仁輔, ビリヤニ とびきり美味しいスパイスご飯を作る! (http://www.amazon.co.jp/dp/402334009X)

[6] Anda Chana | (Chickpeas + Eggs + Delish) | Chickpeas Egg Curry